全児童の登下校をQRコードで見える化!バス乗降・入退校の記録とリアルタイム通知で児童の安全と保護者の安心を確保 ~「スマート送迎みまもるん」で誰一人取り残さない見守り体制を構築~

導入のきっかけ

システム導入に至る課題や背景

茨城県美浦村では、2025年3月末で既存の3つの小学校が閉校しました。統合校として新しく開校した美浦小学校は、役場や公民館などと同じ村の中央に位置しています。その結果、小学校に通う児童の大半が、徒歩通学にはかなり厳しい状況となることがわかりました。スクールバス構想はありましたが、公共交通機関に不慣れな児童も多く、保護者の不安は尽きません。関係者の誰もが安全と安心を実感できる通学環境の構築が、村の緊急課題でした。
解決策として最も重要視したことは、何よりも子どもたちの安全と安心です。開校準備では教職員、PTA、地域の方々、教育委員会などが毎月会議を開催し、子どもたちが安全に通学するための協議を重ねました。議論の主な焦点は、子どもたちの安全を守る「根本的な仕組みづくり」です。スクールバスへの乗降を、保護者がリアルタイムで把握するのは最低条件。できれば、学校や教育委員会もモニタリングして、児童を見守る目を増やしたい。そうなると、既存のツールに何かを追加するだけでは不十分です。管理体制を根本から設計する必要がありました。

採用の背景や決め手

システム選定において、美浦村が特に重視したのは「費用対効果:限られた予算の中で最大の安全性を実現できるか」「運用の手軽さ:毎日使いこなせる負担の少ない仕組みであるか」「万が一のトラブル時の対応力:児童のツール紛失や機器の故障時に迅速に対応できるか」の3点でした。添乗員制度も検討しましたが、人件費が課題でした。毎日朝夕の労働、長期休みにも臨機応変に対応できる人材を複数確保できるかという点でも、懸念は拭えません。ICカード方式やタッチ型の機器設置なども候補にあがりましたが、いずれも運用面で決めかねました。特に児童がツールを紛失した場合の時間的ロスや再発行コストが、現場の不安要素でした。
機能面では、やろうと思えば際限なく高度なシステムを導入できます。しかし、継続的な運用を考えると、ランニングコストが負担になることは容易に想像できます。そのような時期にSHINKOから提案いただいたのが、株式会社ユニ・トランド(以下、ユニ・トランド)が提供する「スマート送迎みまもるん」の導入でした。
「スマート送迎みまもるん」は、児童一人ひとりにQRコードを発行し、バスの乗降時に読み取るだけというシンプルな設計。操作が直感的で導入や維持に過度な手間がかからないこと、紛失による再発行も印刷で容易なことなどが利点でした。提案者のSHINKOには、美浦村のICT関連でご協力いただいた実績があります。美浦村の教育現場に対する理解も深く、知見も豊富で、提案内容が美浦村にとって良い意味で「ちょうど良い」規模感でした。継続可能な範囲で最大の効果が得られる適切なサービスであることがわかり、安心して導入に踏み切ることができました。
(右図 「スマート送迎みまもるん」 イメージ図)

導入後の状況

児童全員に個別のQRコードを配布し、バスの乗降時や登下校時に、それぞれカードリーダーにタッチしてもらっています。その情報がリアルタイムで、通知メールとして保護者に届きます。管理画面上にも即時反映されるため、教育委員会や学校でも確認できるシステムです。QRコードは、ラミネートで加工し、携帯しやすいカード型にしています。子どもたちは名札ケースのようなものに入れ、伸びるストラップでランドセルにつけて持ち歩いています。ランドセルを忘れなければ、基本的に置き忘れの心配もありません。万が一忘れたとしても、スクールバスの運転手や教職員が代理のQRコードを持っているため、カバーできます。
導入にあたり、一番の心配は、運転手たちへの説明と浸透でした。ご年配の方が多く、理解に過剰な負担を強いてしまうのではという不安があったからです。実はその心配も開発元のユニ・トランドには想定内だったようで、初めから直感的に使えるシンプルな設計を提案してくれました。とはいえ、スクールバスは11台あります。運転手の人数はもっと多い。運転手一人ひとり個別にお話をして、理解いただけるまでつきっきりで操作方法を説明しました。皆さんが頑張ってくださったおかげで、運営は順調かつ円滑です。
導入当初はスクールバスを利用する児童のみを対象としていました。しかし、登下校の安全を考えると、徒歩通学の子どもたちの見守りも必須です。保護者からの要望もあり、対象を全児童に広げました。小学校の昇降口にもカードリーダーを設置し、同じようにタッチで管理できるように変更したのです。この時のSHINKOの対応の柔軟さ、迅速さは想像以上でした。
柔軟さといえば、実感していることがもう一つあります。学校とバス停の単純な往復ルートだけでなく、子どもたちの複雑な移動パターンにも対応できる汎用性です。美浦小学校の近隣には放課後児童クラブがないため、子どもたちは閉校した小学校近くの放課後児童クラブを利用しており、バスで送迎しています。そういった放課後児童クラブを介すような子どもたちの多様な動きにも、問題なく対応できています。まさに美浦村がやりたかったことにぴったりはまっていると感じます。
運用から約4ヵ月経った今、「スマート送迎みまもるん」は、やはり、安心感が強いです。導入後、何度か「子どもが間違った場所で降りた」「子どもがまだ帰宅していない」などの連絡がありましたが、行動情報や位置情報を確認して、いずれもすぐに解決しています。管理画面で登下校情報を把握できるほか、バスの位置情報も地図上で確認できるのが良いです。利便性も導入効果も高く、かなり満足しています。

今後への期待

美浦村のような学校の統廃合は、全国的な流れだと思います。実際、直近でも他の自治体から「美浦村は学校の統廃合にどう対応したのか」「スクールバスの運用はどうしているか」という問い合わせをいただきました。児童の安全・安心は、どこまでも理想を突き詰めていける重要な課題です。しかし、限られた予算の中では、現実に向き合わざるを得ません。可能な範囲で最大の効果を見込むとき、条件的に「スマート送迎みまもるん」が合致する自治体は多いのではないでしょうか。美浦村では児童の登下校管理として導入しましたが、コミュニティバスやデマンドで活用している自治体もあると聞いています。美浦村もこのまま活用を続け、誰一人取り残さない見守り体制を続けていきたいと考えています。

導入いただいたお客様

茨城県美浦村様

今回取材にご協力いただいた美浦村様は、茨城県南部に位置する霞ヶ浦と筑波山の豊かな自然に恵まれた美しい村です。JRA美浦トレーニング・センターや国史跡「陸平貝塚」などの文化や歴史が息づいており、良質な農産品や水産品も有名です。このような環境のもと、美浦小学校は2025年4月に木原小学校、安中小学校、大谷小学校を統合して誕生しました。美浦村は「時代の変化に対応し、未来を切り開くことができる児童を育む」ことを目標に、地域に根差した豊かな教育を実践しています。

取材にご協力いただいたご担当者様
美浦村役場 学校教育課 谷畑様



ご協力いただいた企業

株式会社ユニ・トランド様

2016年5月設立。株式会社ユニ・トランドは、株式会社ユニリタ(東証スタンダード市場:3800)のグループ会社で、持続可能な地域社会を実現するために、交通・人流・物流に関わる社会課題を、デジタル技術を活用してデータを収集し、現状を可視化するとともに、さまざまな分析を通じたエビデンスに基づいて解決しています。

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